さよならだけどさよならじゃない

ついに東京を離れる。

未だに実感は湧かない。

けれど引越しを終え、退居のため空っぽの家に帰ったとき少し泣いた。

東京にいる友人にはまた会えるだろうし、住んでいた街を訪れることも出来るけど、俺が創り上げたあの六畳の空間は二度と戻って来ない。

それが切なかった。

わざわざ死ぬまで銀行の奴隷になってでもマイホームを買う馬鹿の気持ちが分かった。

 

しかし、思ったよりあっさりみんなとお別れしたな。

卒業式が中止になったりして、大袈裟なお別れの儀式が無かったからなのか。(無論、卒業式に出たところで友人はとっくに卒業しているから孤独になるのだが)

別に戦争に行く訳でも異国に行く訳でもないので本当にいつでも会える。

連絡先を知っているし、飛行機に乗れば一瞬で会いに行ける距離なんだからそんなに悲しむ事ないじゃないか。

 

と思っている。

でもこれが楽観的な考えだということもどこかで理解している。

みんな忙しくて、いつの間にか社会のどこかに丸め込まれちゃうんだよな〜。

頻繁には会えなくても、忘れられないくらいには会っていたいなぁ…。

まあ、今のところ本当にいつでも会える気でいるのでお別れって感じはしないね。

 

そして、俺が離れることを寂しがってくれる人がいたことが嬉しかった。

大学に入学した頃は何だか邪魔者扱いされているような気がしたし、彼女を寝取られたときは俺は東京では幸せになれないなどと思ったけど、自分の存在を肯定してくれる人と出会えたことを心の底から嬉しく思う。

ま、東京育ちの女とは1人も仲良くないけどね。

Pellicule

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ら・ら・ら

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