やあ、また会ったね。
最近どう?
僕の身に起きた変化としては、彼女ができたこと、妹が結婚したことくらいだろうか。
だからといって、特に劇的な生活の変化もなく新年度を迎えたし、おそらく幸せで平々凡々な日々を過ごしているのだと思う。
これまでの人生を振り返ってみても、それなりに幸せな人生だったと思う。
貧しくない家庭に五体満足で生まれ、友人をはじめとする人間関係に恵まれ、生きる上で大きな障害や不安を抱えることなく大人になった。
今も不幸ではない。
むしろ、充分幸せなのだろう。
だが、胸を張って現状維持を目指せるほど現状に満足しているかと言われれば、答えはノーだ。
20代によくある悩みだ。
「俺の人生、このままでいいのかな?」ってやつ。
この前、久々に会った友人がマリッジブルーに陥っていた。
彼もまた、いや、彼こそが「俺の人生、このままでいいのかな?」の渦中にいた。
おかげで、今日が楽しければいいと思考停止モードになったいた僕も、少しだけ未来のことを考えられるようになった。
彼には
「今ある幸せを噛みしめろ」
「正解を選ぶことはできない、選んだ道を正解にしろ」
など、どこかで聞いたことのあるようなクソの役にも立たないアドバイスをしてしまったわけだが。。。
最近思うのは、20代後半って、結構オトナなんだなということ。
つっても、中身はガキのまんまですよ。
中学生レベルの下ネタが今でも大好き。
でも、僕自身も、オトナに近づいてきたなという感覚もある。
働いているから、彼女がいるから、同棲しているから、結婚しているから、子どもが産まれたから、、、そんなんじゃあない。
オトナになるとは何か。
最近思うのは、未来が怖くなること、そして、その怖い未来へ進んで行くことではないかということ。
あの頃思い描いていた輝かしい"未来"とはかけ離れた"現在"に絶望し、真っ暗な未来しか見えなくなった。
それでも、自分以外に大切なもの、失いたくないもの、守るものができた。
それは、家族や恋人かもしれない、誰かの笑顔かもしれない、友人、推しのアイドル、二次元の嫁、趣味、世間体、地位や名声、、、なんでもいい。
それらを維持するには、暗くて苦しくて残酷な未来と分かっていながらも前に進まなくてはならない。
過去の栄光や失敗を引きずっている暇はない。
セピア色の思い出に後ろ髪をひかれながらも、震える脚を引きずって真っ暗な未来に飛び込んで行く中で人はオトナになるのだろう。スーパー自論だが。
暗い未来へと逞しく歩み始めた友人が増えてきた。
そして僕自身も、一歩踏み出そうとしていることは否定できない。
何かきっかけがあったとか、そういう訳ではない。
ただ自然と、チン毛が生えたり声が低くなったりするように、オトナに近づいていく時期が来たのだろう。
ガキのままでいられるほど特別な何かを持っていなかったとも言えるし、ここで人生を終わらせるほど潔くなれなかったとも言える。
18歳までの僕の声が聞こえてくる。
「つべこべ回りくどいんだよ、結局お前は平凡な人生でもいいって言い聞かせてるんだろ?」
「並外れた努力もリスク冒すこともしないで夢破れたみてえなツラしてんじゃねえよ」
「真っ暗な未来に進むとして、お前そのままで戦えるの?」
「今の仕事に胸張れる?」
「その収入でてめえ以外の何かを守れると思ってんの?てか貯金とかある?」
「結婚とか考えちゃってる?子供とか作るなら若いうちの方が良くない?」
「今は一人でも楽しいけど、それ40になっても同じこと言える?」
「一生東京に住める?親の介護とか結構大変らしいよ」
「結局何が楽しくて生きてるの?」
うるせぇ。
こっから気合いで面白い人生にしてやるから指咥えて見てろタコ。