俺は東京に負けたのか

福岡から東京に来てもうすぐ三年が経つ。当初は"東京"という響きに期待で胸を膨らませていたものだが今となってはそういったものも消え失せてしまった。

別に、大学入学というタイミングで東京に来たことに対しての後悔は一切ないし、大学時代を福岡やその他の田舎で過ごすより遥かに楽しいとは感じるが、東京に永住することは僕には不可能だと強く感じる。

人が多すぎるだとか、電車がややこしいだとかそういう事ではない。問題は東京、特に東京の大学に存在する人間の質である。

東京にいる奴っていうのも、大抵は都民ヅラした埼玉千葉県民と、東京まで電車に揺られて来ておきながら何故か勝気になっている神奈川県民が8割ぐらいを占めている。東京に住む金もないくせにわざわざ長時間かけて東京に出て来るような見栄っ張りな人種が大多数であるこの街に僕は馴染めなかった。

奴らは東京に無駄に近いせいで都民に対してのコンプレックスを抱いているのだろう。都会人でありたいと願っている。だから僕みたいな東京から遠い場所出身の人間を見つけると謎のマウントを取ってくる。所詮1時間以上かけて通わせるような過保護なのか鬼畜なのか分からん親の元に生まれた可哀想な人間だから流してあげてるけど。

奴らは背伸びばかりしていて自分らしさみたいなものが一切ないんだよな。だから話してても面白くないし僕よりしょーもない人生送って来たような奴らばっかり。

どうせ金もないのに東京にひょこひょこ出てきて遊ぶか地元のチェーン店しかない駅前で遊ぶかしか選択肢が無かったんだろうな。

そして東京にいる人間はダサい事やカッコ悪い事を毛嫌いする傾向が強い。恥を晒したら負けだとでも思っているのだろうか。結局そういった部分を見せ合えないから浅はかな人間関係しか構築できずに終わってしまう。奴らにとっての友達の基準ってのはこまめに連絡を取り合うことなのだろう。

とにかく東京に染まっている非東京都民が嫌でしょうがない。東京の街は若者が遊ぶには選択肢がたくさんあって良いものだが、どいつもこいつもカッコ付けていけ好かない奴らばかりでウンザリしてしまう。代官山だの表参道だの銀座だのなんかより、錦糸町や上野みたいな街に居心地の良さを感じるのはそういう事が起因しているのかもしれない。

暇で金銭的余裕もある学生時代を東京で過ごせたことはとてもラッキーな事だが、オシャレなカフェ巡り(笑)が趣味の奴とか、不細工のくせにファッションに拘るような奴ではない僕が社会人になっても東京に住みたいとは思わない。

生粋の江戸っ子やら都民でもなければ地方出身でもないアイデンティティの無い奴らが幅を利かせている東京にいるよりは、地域としての特色がはっきりしていて街に活気がある福岡のような地方都市にいた方が幸せになれる気がしている。

大学時代を東京で過ごすという選択は正解だったと思う。しかし東京にいるからと言って東京らしいことなんてしていないし、そもそも東京に東京らしさを見出せなかった僕は東京で生活することに向いていないのだろう。みんな東京で何か特別なことをしているんだろうか。僕はせいぜいゲイバーで働いたことぐらいだ。

学生が朝まで遊ぶにはうってつけの東京。しかし東京での出会いで本当に価値あるものは少ない。むしろ東京に来て失ってしまったものの方が多いんじゃなかろうか。僕にとって東京は遊ぶ場所であって住む場所ではない。だからと言って東京近辺の県民には絶対になりたくない。東京近郊にいるだけで上級国民だと勘違いしているバカ共に中指おっ立てて地方都市に逃げる生き方が僕には合っている。

 

東京に染まらずにいた僕が勝ちなのか、東京に馴染めなかった僕が負けなのか、答えはいつか分かるのだろうか。

 

 

 

♪大都会/クリスタルキング

 

さようなら。